■ The last holiday

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すっかり暗くなってしまった校舎を1人歩く。

啓太の両手にはしっかり食堂のおばさんがつくってくれた

お弁当が抱えられていた。 まだお弁当の底は暖かくて、

ふんわりと美味しいハンバーグの匂いが漂う。

 

少しだけ啓太のお腹がぐぅと鳴った。

人っ子一人いない校舎はしんと静まり返っている、
いつもの喧騒はどこへ消えたのだろう。
 
     先日からBL学園は 4連休を迎えていた。
   学園中が長期の連休に沸いて、クラスメイトも実家に帰る奴や仲間同士で
学園島を出て遊びに行く奴もいた。啓太もそのうちに漏れず、
実家に帰る予定だった。が、休暇3日前に取りやめることにした。
 
「和希!?休暇も仕事なのか!?」
 
啓太は人のいない中庭を和希と歩きながら休暇の予定を話していたところだ。
 
 「あぁ〜休み明けに行事を控えてるから今のうちにな。じゃないと学園に
  顔も出せないしそうなったら・・・啓太にも会えないだろ??」
 
和希は心底残念そうに苦笑いをしていた。
 
  「じゃあ!俺も残る、何か手伝えることもあるかもしれないだろ?
  MVPの時も凄く和希に助けられたし・・・・。今度は俺が和希を助けたい!」
 
という事で学園中がざわめいている休暇を予定を変更して啓太は学園に残った。
仕事の手伝いはあまり出来なかったが、差し入れをしたり、
気分転換に話をしたりする。ある時、あまりに手伝えない自分に
 「俺、手伝いになってないよな?」と言うと和希は
 「それが一番啓太にして欲しいことだから。」といって笑った。
ちょっと照れくさかったが、じゃあ毎日見に来るからね、といってこうやって
寮になかなか戻れない和希に今も夕飯を運んでいるのだ。
 
蛍光灯がともされた廊下は真っ暗になった教室がいつまでも続いて
このままどこか別の世界へいけそうな気がする。
そんな事を考えて歩いているうち、気品のある木製のドアが見えてきた。
金のプレートには「理事長室」の文字だ。静かに2回ノックするとドアの向こうから
静かな和希の返事が聞こえる。啓太は一学生を装いながらドアをあけた。
 
 「和希、夕飯もってきたよ。今日はハンバーグ!」
 
啓太はにっこり笑って抱えていたお弁当箱を掲げて見せると
書類に向かっていた和希は顔をあげて同じく笑った。
 
 「お腹すいてたんだよ。もう仕事もお終いだからちょっとソファで待ってて。」
 
和希は理事長室に誂えた革張りのソファセットを指差した。
重厚な革張りのソファはつやつやとして高級感があった。
実際に高級品なんだろう、啓太が座ると体がゆるりと包み込まれるようで
凄く気持ちのよいすわり心地だった。同じく高級品に見えるガラステーブルの上に
持ってきた弁当を広げていく。この休暇中は毎日続けてきた作業だ。
 
 「終わった!!これで完了〜まさか休暇最後の夜までかかるなんてっ!!」
和希は大きく伸びをして、ついでにふうと大きく溜息をつけると長いソファにいた
啓太の隣に並んで座った。タイミングよく啓太も夕飯の準備を終えて夕飯にする。
 他愛もない話をしながら、食べる夕飯は美味しかった。
ちょっと冷めかけていたハンバーグも煮物も和希と分け合って食べる。
あっちをつまんで、こっちを摘みながら2人で笑いあっているとすっかり
お腹のすいていた啓太と和希はあっという間にお弁当を平らげてしまった。
空になった弁当箱を啓太が片付けていると和希は、はぁと溜息をついている。
 
 「なんだよ和希、さっきから溜息ばっかり。」
 
啓太はなんだか落ち込んでいる和希の顔を覗き込んだ。ちょっと困ったような顔を
してから、今度はふっと寂しそうな顔をして笑っている。
 
 「いや、せっかくの休暇なのに啓太を仕事につきあわせちゃったなと思ってさ。」
 
そういうと和希は啓太の頭をくしゃりと撫でた。
猫っ毛の髪の毛は揺れてふわふわと踊っている。
 
 「いいんだよ、俺が決めたんだし和希と一緒に過ごせたし。」
 
ウソではなく、本当にこんなに毎日和希といられることはないし、
何しろ仕事をしている和希の姿が見られることなんてめったにできないことだ。
自分があまり手伝えないのはちょっぴり残念だと思ったが
それでも和希に「ありがとう。」と言ってもらえるのは正直嬉しかった。
なにより、仕事で一生懸命の和希は格好が良かった。
 
 「でも、一日くらい一緒に出かけたかったよ。色々考えてたんだぜ?これでも。」
 
そういうと机の引き出しから旅行パンフレットを引っ張り出して見せた。
テーブルに広げられたパンフレットは各地の遊園地や行楽地な名前が並び
派手な印刷の紙は山のように重なっていた。
啓太はその量に驚きながらパンフレットを1つ取るとパラパラとめくって眺めた。
すると突然啓太の肩に重みとふわりとした感触が広がる。
和希がコツリと頭を啓太の肩に乗せたのだった。
サラリと和希の髪が啓太の首に触れると啓太はくすぐったそうに肩をすくめた。
 
 「くすぐったい、和希。それにしても凄い量だね・・・ちょっとびっくり。」
 
啓太は苦笑いをしながらパンフレットを閉じた。
 
 「だってさ、恋人同士だからね。休暇にデートは鉄則・・・だろ?
 それに・・・・たまには啓太の時間を俺だけで独り占めしたいな。」
 
少しだけ頬を染めながら和希は笑って肩から頭を放しきゅっと啓太を抱き寄せた。
 
 「わ!!和希・・・・。」
 
突然抱きしめられて啓太の体温は急上昇していく。
腕の中から覗いた和希の顔はうっとりとした目で啓太の答えを待っている。
その目は啓太の胸をきゅうっと締め付けていく。
小さく息を吸うと啓太はゆっくりと目を閉じてからにっこり和希に笑いかけた。
 
 「俺も・・・和希を、独り占め・・・したい。」
 
 「啓太・・・。」
 
何かに期待するように啓太がそっと目を閉じると唇は柔らかな感触に包まれる。
一瞬はなれたと思うと舌で唇をなぞるように舐め揚げられ、不思議な感覚に
啓太は和希のスーツをぎゅっと掴んで囁いた。
  
 「ふぁ・・・和・・んぅ・・・。」
 
啓太の隙を逃さず和希は啓太の口腔に舌を滑らせる。
探るように歯列をなぞられ、感じやすい上顎を舌でくすぐられるたびに
啓太は背筋がぞくりとわなないた。
 
 「ハンバーグの味がする、啓太。」
 
和希はクスッと笑って唇を離すとゆっくりと首筋や頬に唇を這わせながら
啓太の胸元を空気に晒していった。啓太はプクッと頬を膨らませると
胸元に口付ける和希の髪の毛に指を絡ませながら言う。
 
 「しょうがないだろ。和希のバカ・・・。」
 
するとバカといった仕返しと言わんばかりに薄い胸をちゅっと音を立てて吸われ
あまり日焼けのしていない啓太の肌に赤く所有の印が色づく。
 
 「こっちは・・・甘いね、啓太。」
そういうと触ってもいないのに尖り始めた胸の飾りをペロリと舐められた。
舌で押しつぶされるとゾクゾクとして連動するように下半身に熱が溜まる。
啓太がもっとと強請るように和希に腕を回すとゆっくり体はソファへ押し倒された。
素肌になった啓太の背中が柔らかな皮のソファに溶けるように埋もていく。
いつの間にか和希は着ていたジャケットを脱ぎ、シャツを前を全て開いた
和希の素肌が啓太の肌に擦れながら次第に下へ降りていく。
啓太は張り詰めたズボンの前をくつろげられると同時に
あっという間に和希に下着まで剥ぎ取られてしまった。
明るい電灯の下で晒されたソコはすでに濡れて反応を示している。 
 「やだ・・・そんなに見ないでよ・・・和希っ。」
啓太は両手で顔を覆いながら頭を振った。
するとやさしく、しかし有無を言わせない甘い和希の声が降ってくる。
 
 「見せてよ、啓太。啓太の全部、独り占めしていいんだろう?」
 
啓太は顔を真っ赤にしながらゆっくり両手を顔から離すと和希の首に回した。
するといつもなら見せない悪戯っ子のような笑みを浮かべて
和希は啓太の両足を割り開いた。片足を肩にかけると、
空いた手で半勃ちの啓太のモノを巧みに扱きあげる。
 
 「あ、やあっ!和希ぃ・・・それっダメっ・・・。」
 
啓太は上がる息の合間から甘い声を漏らし、感じやすい先端をこすられると
先走りのモノを垂れ流しながら背をそらした。
 
 「ダメ?啓太。じゃあ・・・こっちは?」
 
そう言うと和希はべたべたになった手で後ろの蕾を探っていく。
 
 「ん・・そっち・・・は・・・ああんっ。」
 
啓太が言い切らないうちに和希は啓太の中に指を埋めてしまった。
濡れた指はすんなりと啓太の中に飲み込まれ抜き差しをするたびぐちゅぐちゅと
卑猥な水音をたてた。1本、また1本と増やされて感じやすい場所を攻められると
触ってもいないはずの啓太のモノはさらに濡れて質量を増していく。
 
 「か・・・ずきぃ・・・。も・・・お願い・・っ。」
 
すっかり後ろを攻められて限界に来ていた啓太の目は涙にあふれていた。
 
 「あぁ、啓太。俺も・・・啓太が欲しい。」
 
和希も同じだったらしく、後ろの蕾からずるりと指を引き抜いた。
着ていたパンツと下着を脱ぎ去り、残った啓太の足をもう片方の肩に抱えると
何度か自分のモノを扱き、ヒクつく啓太の蕾に自分のモノをゆっくり沈めていった。
 
 「はああぁっ!和希っ・・・・・。」
 
何度経験しても最初の違和感は慣れることはなく、啓太は和希の背中に手を回し
ぎゅっと抱きついた。上気した肌と肌は触れるだけでお互いの体温を上げていく。
和希は啓太の呼吸が整うまで抱き返してやわらかい啓太の肌にキスを降らせ、
頬、額と触れて唇にたどりつくうちに身体は中の和希のものに感じだしていた。
ゆるゆると和希が身体をゆするとキスの間から甘い吐息を吐きながら
今度は啓太から和希の舌に自ら舌を絡めていく。
キスからなのか、それとも繋がった場所からなのか、
二人だけの理事長室に響く粘った音は耳からも2人を刺激した。
 
 「啓太っ・・・。」
 
和希はより啓太に抱きつくように身体を合わせて腰を揺らす。
ソファはその度にキシキシと軋んで啓太の身体を飲み込んでいく。
反り勃ったのモノは和希の肌に擦られ、中はぐちぐちと奥まで攻められて
啓太は太ももの内側が張り詰めるようにヒクついて感じた。
 
 「あふっ、和希っ・・・もっ・・ダメ・・・イ・・ちゃ・・う。」
 
ほろほろと涙をこぼしながら啓太は吐息がかかるほど側にいる和希に囁く。
和希は啓太のモノを扱き揚げて快感を促した。
 
 「啓太・・・愛してる。」
 
 「はあああっ・・・和希ぃ・・・好きっ・・・!」
 
啓太は甘いテノールで熱く囁かれると引き金になったように白濁したものを
和希の手の中に吐き出した。連動するように啓太の中もびくびくと和希のものを
締め付けて、後を追うように和希も啓太の中でイった。
 
 「そろそろ・・・起きれる?啓太。」
 
和希は自分の膝上で丸まっている啓太の髪を撫でながら言った。
 
 「ん・・・どうにか・・・ははっ・・・。」
 
苦笑しながら啓太は鈍くしびれる下半身を無理やり動かして起き上がった。
またこんな大切な部屋で、恥かしい事をしてしまったと顔を真っ赤にして
啓太は一人反省する。
 
 「そろそろ寮に戻らないと、篠宮さんに怒られちゃうし・・・ね。」
 
と言って啓太は持ってきたお弁当箱を抱えると和希に支えられながら
二人でゆっくりと並んで寮へと歩きだした。
すっかり外は真っ暗になって学園内も眠ったように静かだ。
中庭にも、校庭にも誰もいない。聞こえるのは、草陰から聞こえる虫の音だけだ。
2人で石畳の遊歩道を少しだけ足音を鳴らして外灯の下を歩いた。
 
 「お休みも終わりだね。」
 
なんとなく、ぽつりと啓太はこぼした。
ちょっぴり寂しいけれどまた明日から和希と学生生活だ。
そのためにこの休暇頑張ってきたのだし、頑張らなくてはいけない。
 
 「そうだね、でも・・・さ?まだ寝るには・・・早いよな?啓太。」
 
和希は立ち止まり啓太を見てニッと笑った。
それがどういう意味かさすがの啓太にも理解できた。
 
 「一人占め・・・だよね?」
 
 「もちろん。」
 
そう言って俺たちは互いの気持ちを確認するように軽く口付けると寮へ戻った。
 
翌日、2人で遅刻ギリギリになって海野先生にきつくお叱りを受けたのは
幸せな時間を味わい過ぎた、2人へのしっぺ返し。
           
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(2007/09/13 up)


 



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